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04/10/2006

プロデューサーズを見た/ The Producers 

 見た~~♪念願かなって、ようやく見れました。ブロードウェイの幕が上がりWall01_800素晴らしく評判が良く、トニー賞まちがいなし!という噂を聞いた時、本当に見に行きたくてため息を何度もついた。(ToT)9.11後、周囲はまだ大混乱でとてもブロードウェイ復興は困難ではないかとの声もあった中、いち早く再演を開始したのもこの舞台だと聞く。チケットが手に入らないこの舞台も、その日はさすがに空席があったそうだが、「ブロードウェイの灯りを消さず守り続けることがNYを守ること、戦うこと」と、その日のフィナーレはとても感動的だったと以前記事で読んだ。 こんなにこの作品に肩入れする理由は、マシュー・ブロデリックが長らく私が一番大好きなアクターだったからだ。もちろん今でもそうだけど、「GOZILA」に出た時、えー、これからどうなっちゃうんだろう?と若干心配したので、彼の芝居の原点とも言えるブロードウェイで久しぶりに大成功を収めたことが、本当に私はうれしかった。だから、映画化の話を聞いた時、涙がでそうなくらい飛び上がって喜んだ。

 そして映画化であるが、なにしろ、実際はもとが映画だから、映画→舞台→映画と戻ってきたわけだけど・・・ブロードウェイの一級エンターテイメントが、そのままスクリーンの中に収められたような感じだった。私は元の映画を見ていないが、恐らくこのブロードウェイの作品で、新しく生まれ変わったのだろう。なにしろキャストが本当にすごい。全員が本当に芸達者。舞台役者はやはり違う!と唸る上手さがあるし、プラスちゃんと映画ならではのミュージカル・コメディ的描き方もとても上手く活かされていて、昔のフレッド・アステアなんかの頃のミュージカルも思い出したりして。お話の題材として敢えて人が警戒しそうな要素の、ゲイ、ナチスという濃いネタを思いっきり際立たせることで笑い飛ばし、上質のコメディに仕上げているところがすごい。さすがメル・ブルックスだと唸った。こんなに爆笑した映画も最近は珍しい。舞台を見ているように新鮮だった。笑いながら何度も拍手したくなってしまったほどだ。是非是非、沢山の人にこの上質のエンターティメントを味わっていただきたい。最後の最後までエンターティメントのこだわったこの作品、どうぞくれぐれも、場内の明かりが灯るまで席をお立ちにならないように!

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04/01/2006

「ヒストリー・オブ・バイオレンス」を見た!

 久しぶりのクローネンバーグ作品。ちょっと前の「イグジスタンス」以来である。この前作も、アイディアからして突拍子もなく、不気味なゲームにとりつかれた人々の話なのだが、キャストが豪華(ジュード・ロウ、ジュリアン・ムーア)であったため見に行った。そしてその前は「クラッシュ」。偶然今話題の作品と同名だが全然別作品。今の方の題名を見た時、すぐにクロネンバーグ作品を思い出し、ははは、と思ったのは私だけではないでしょう。なにしろ、アイディアが突拍子もないので。しかし、過去のクローネンバーグ作品に比べると前2作は、私は少し変わってきたなぁという印象だった。ドラマ性が高くなってきている、というか。昔はやぱりホラーミステリーの代表者みたいな感じで、不気味な描写・SFXに特殊メークと突拍子もないストーリー、そして愛という感じだったが、前2作はドラマの中で特殊世界を描こうとしている手法に変わっていたように思う。それでも十分不気味さはあったけど、もちろん。

Wpa1024_768_1   で、「ヒストリー・オブ・バイオレンス」。おだやかな顔のヴィゴ・モーテセンがよい。昔は悪人面という印象だったこの人は一作毎に穏やかな顔になっていく。そして、今作のキャスティングはベストだったと思える。彼だからこそ穏やかで、でもなんとなく瞳の奥に秘密の輝きがあるようなキャラクターを表現できたのだろう。まあ正直、題名は本筋とちょっと違うように思うが。ストーリーは思いのほかシンプルだった。やさしくて、穏やかな父であり夫であるトム、実は別の顔をもつ過去があった、というお話。徐々に夫の過去に疑問を持ち、確信に変わり驚愕する妻と息子。家族は一体どうなるのか?そしてトムはどうするか? 驚いたのは、本当にクローネンバーグ?というくらい穏やかな語り口。本当に撮り方変わったんだなぁと思った。おだやかで仲良しの家族ということを強調するかのような、ファーストシーン。そしてなにより暴力や争いを嫌い、負けるが勝ちという強い姿勢を貫ける息子。それらをきちんと描くことで、いかにトムが良い父親かということが理解できる。しかし、バイオレンス描写はさすがで、頭が打たれるとか、血が飛び散るとかの描写にはきっちりディテールまで凝って撮っている。ぎゃっ!っと内心叫びつつ、さすが健在、などと思ったりして。他人になったつもりで過去を捨てて生きてきたが、生まれ変わった自分の中にやはり過去の自分は生きていた・・という事実。その後、あの家族はどうなるのか。穏やかで疲れた目をしたトム、苦悩と恐怖と愛の狭間で苦しむ妻。修復には時間がかかるだろうが、また静かにこの家族は暮らしていくだろうと思わせるラストシーン。しかし元通り愛せるのか、信じあえるのか。暴力とは行為そのもの事でなく、人の心の中に存在するものであり、コントロールするのはとても難しいものなのだと、言っているようだった。ヴィゴ本人の演じ方か、クロネンバーグの演出か、とにかくトムという人が過去の自分に戻ったシーンでも狂気に転じるわけではなく、同じ顔で演じていたのが逆に印象的だった。エド・ハリス、ウィリアム・ハートなど強烈な個性を残す豪華キャストがすごく効果的。誰にでも奨められるわけではなかったクローネンバーグ作品のこれまでのベスト作品だと私は思う。これは、普通にお奨めできる(^_^;)。

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