「ワールド・トレードセンター」を見た!
あれから5年・・・偶然なのか敢えてなのか知らないが、同年に9.11関連の映画が2本。一本は飛行機の方、もう一本は激突したビルを舞台にした作品。しかし、描かれている主題は大きく違う。
戦争だろうが、ニューヨークに暮らす現代人だろうが、歴史上の人物だろうが、なにしろオリバー・ストーンが描くと何でも極太、ものすごくテンションを感じて、大体途中でちょっと疲れてしまう。これは一体どうなんだろう・・・と正直おそるおそる見た。普通の朝のはずだった・・・日常の湾岸警察の一日が始まった・・というところから、突然、それはやってきた。遠くで聞こえる爆音。本部のテレビで見る煙の上がるトレードセンター。とりあえず、ビルの中にいる人を救助に行くためバスで一団が向かう。十分な情報を得ていないため、皆一様に落ち着かない様子の警官達。そしてビルに近づいて来た時、恐怖による心臓発作からか、歩道で倒れている男性をバスから全員眺めながら、何かとんでも無いことが起きている・・・ということを感じるシーン。 そして、混乱が予想されるビルの中に入る警官を募り、お互いを気遣いながら、勇気を出して志願する数名。そこからビルに入り、崩壊、下敷きになってしまうまで、ストーリーは流れるように、あっという間に描き上げている。
なんとちゃんとした温かいヒューマンドラマだった!
ビルの崩壊シーンや、瓦礫に埋まってからも絶えず訪れる火災や崩壊の恐怖の描き方はさすが。観客はつらくて、顔をしかめながら見ることになる。しかし、いつものように、段々疲れてしまったり、必要以上にテンションの高さを感じるようなことがこの作品ではない。何故だろう? それは、この作品がきっちりと「人の生命力」「人が助け合うということ」「他人を想いやるということ」という部分にフォーカスをあてて描かれているからだろう。人間愛、それがどんなに強いものかということがこの作品では描かれている。
いろいろな人がこのビルでは犠牲になっているし、もっと違った描き方もできたのでは?とい意見もあるかもしれない。だが私はこの作品で一番描きたかったのは最後のナレーションであったように、「人が人としてするべきこと、正しいことを行うことが、大切なのだ」という事なのだろうと思う。これは、何も非常事態の時のことを言っているのではない。日常生活の中で、普段の私達が皆それぞれ、他人を大切にし、人として正しいことを行う暮らし方をしていれば、世界は自然と平和になっていくだろうと、私は思う。簡単そうで実はとても難しい。だからこそ、このような非常事態時に、あらためて気づくのだ。
オリバー・ストーンが描く神の救い
瓦礫に埋まった二人を夜通し捜索し、発見してくれた海兵隊員は、実は普通の会社員で、
以前海兵隊員だったが、神から啓示を受け、ビル崩壊現場で救助活動を行うことが、自分の使命なのだと信じて一人やってきた男性だった。そして、瓦礫の中で意識が薄れていくヒメノが見た夢は光を持ってやってくる、イエス・キリストの夢。必ず助かると言われたと。私は、このエピソードを描いたオリバー・ストーンはやっぱりすごいと思った。実は、ワールド・トレードセンターから無事生還した人の中に、イエス様や天使に助けられた・・という人の話はいくつかある。これは、本当に修羅場を経験した人のエピソードである。安易なストーリー展開はありえないオリバー・ストーンが、このエピソードを描いたということは、やはり、この監督は自ら修羅場を経験している人なのだと私は思う。(ちなみに、これはやっぱり、クリスチャンじゃないと理解しづらいだろうか?)
急にいつものギラギラした感じが抜けて、年を取ったように見えたニコラス・ケイジ、もちろんこれは演技なのでしょうが、こういう役もありなんだな、と思ったりして。ヒメノ役のマイケル・ペーニャ、「クラッシュ」に続き印象的な役。とても良かった。個人的には、後半ちらっと、出てた、スティーブン・ドーフがえらく老けちゃってたのが、ちょっと衝撃。役作り?ではないよね・・・。



Comments
Sis.Cさんこんにちは^^。
この作品では、テロがどうだとか、やれ報復ということには触れず、
人間の生きようとする姿、危険を顧みず救出に向かう人、そして
命の尊さについて描かれていましたね。
>日常生活の中で、普段の私達が皆それぞれ、他人を大切にし、人として正しいことを行う暮らし方をしていれば…
仰るとおりですね。お互いを尊重しあっていけたら・・・でも、昔から人間は愚かな争いを繰り返してしまうんですよね。
ところで、「ユナイテッド93」怖くて見にいけませんでした。
私の中では、まだ全然過去のものではなくって、あまりにも辛そうでした。
何かの時に、予告編を見ただけで、気を失いそうでした(汗
と言うわけで、Sis.Cさんのレビューをじっくり読ませていただいたのでした。そうしたら、やっぱり観に行けば良かったかな、とも思ったりして^^;
私も、TB送らせていただきます。
Posted by: happy-clover | 10/18/2006 at 08:30 PM
トラバ・コメントありがとうございます。
ひらりんが泣けたのは、家族のシーンばっかで、
瓦礫のシーンは息苦しかったっ・・・です。
病院に貼られてた、安否を求める写真の数々・・・
当時のメディアでも報道されてましたけど、
行方不明者を待つ家族の心情が、生々しくて仕方ありませんでした。
Posted by: ひらりん | 10/20/2006 at 03:14 AM
happy-cloverさん、ありがとうございます。
この映画を見終わって、一昨年ぐらいにNHKでみた特集を思い出しました。NYの人たちにとっての9.11・・みたいな番組だったんですが、同じアメリカ人でも、NYから遠いところに住んでる人達にとって、WTCの出来事って、外国で起きている事件みたいな感覚らしいんですね。つまり私達と同じ。Newyorkerにとってのこの事件は、私達が感じている相対的なテロ行為という恐ろしさより、自分達が住んでいる街が破壊され、沢山の身近な人が惨事に巻き込まれ、日常生活が一旦停止するという恐怖と悲しみを肌で感じたんですね。つまりその感覚が一番大きい。だから、もちろんテロ行為への憎しみはあるけれど、その恐怖を乗り越えて行こうと、隣人達と手を取り合って立ち上がる気持ちが強い。オリバー・ストーンはニューヨーカーです。だからこそ、それがこの映画には反映されているのだと思いました。
そういう意味では「ユナイテッド93」との違いは非常に大きいですね。
Posted by: Sis.C | 10/20/2006 at 07:09 PM
こんばんは。
TB&コメどうもです。
ストーンの作品としては、ビックリするくらいストレートでしたね。
深読みすれば出来なくもないですが、これは受け手もストレートに受け取るべき作品なのでしょう。
なかなか良かったです。
Posted by: ノラネコ | 10/20/2006 at 07:14 PM
ひらりんさん、ありがとうございます。
私も病院のシーンは胸がつまって、無条件に涙がこぼれてしまいました。皆、自分達が瓦礫の中へ入って探せるものなら探したいと思っていたでしょうね・・。
Posted by: Sis.C | 10/20/2006 at 07:17 PM
ノラネコさんありがとうございます。
そうそう、私も最初かなり構えて見ましたが、(世の中的にもそういう人多かったと思いますが)とても素直に撮られていて、安心したというか、ほっとしたというか。とにかく素直に感動する良い作品だったとお思います。
Posted by: Sis.C | 10/20/2006 at 07:22 PM