「イルマーレ」を見た!
待ってました~、ひさしぶりのキアヌの恋愛作品。しかもお相手はサンドラ・ブロック。個人的にはこの二人、トム・ハンクス&メグ・ライアンの次にベストカップルだと思う共演なので、とっても楽しみでした。
周知の通り、オリジナルは韓国の大ヒット映画、私はこれを見ていないので比較することは出来ませんが、湖畔の美しい家と、シカゴの町並みと四季、そして効果的な音楽の使用でとても美しく、しかもちゃんと大人の作品になっていると思う。シカゴっていうところがポイントかもしれませんね。偉大な建築家であるアレックスの父上が語っていた、建築には光が重要、それも自然の光。その土地の光はその土地で違う、という事がスクリーンの映像でも語られていたように思う。強すぎない、柔らかい光が多く、主人公二人の気持ちを映し出しているかのようだった。
ロマンチックではあるけれど不思議な設定
作品全体としては満足だった。ストーリー運びもキャストも音楽も映像も、文句なし。まあ、細かいことを言ってしまえば、どうしてあのレイクハウスのポストが2004年と2006年で繋がっていたのだろう?ということだけど。ストーリーが進むにつれ観客が想像するように、文通している本人達とは時間の違う時代の相手と少しずつ接触するようになるのが、とてもハラハラするところ。しかも目の前で、時空を超えてポストが手紙を受領するなんて、ちょっとSF的。それでも、純粋な恋愛映画として、とても温かい作品であると言える。 もうちょっと突っ込めば、初対面の人とあれだけロマンティックなダンスとキスをしておいて、その後湖畔の家に移り住んだ時、ケイトがアレックスのことを思い出さなかったのは不自然ではないだろうか?それと、ケイトがどうしてあの湖畔の家から引っ越したのかが、語られていなかった。だって彼女はその後、アレックスと手紙をやり取りするため、いちいちあの家のポストへ行っているわけだし。まあ、そんなことに突っ込みをいれるのは、ロマンティックなストーリーを楽しむにあたってヤボというものだろうか?
それにしても、恐るべしジェーン・オースティン。現代アメリカ女性に益々信奉者が増えているだけあって、映画の中にまたも彼女の小説が小道具として出てきた。ジェーン・オースティン作品は私は実はまだ読んだことが無いが、もちろん映画化作品は全て見ている。18~19世紀のイギリス田舎の中流階級が舞台。どれも全て芯が強い女性が主人公で、ストーリーの核の部分が現代女性の行き方や考え方に十分通じる部分があり、そこが衰えない人気の秘密なのかもしれない。ケイトが偶然、自分の部屋の板の下から発見した(恐らく2年前にアレックスが隠しておいた?)「説得」の一部分を読み、心を動かされるというシーンがあった。手紙のやり取り、古典小説など繊細な人の心の奥を動かす道具が使われていて、実はとってもクラッシックで純粋な恋愛が描かれているのだなぁ、と気づく。 2度出てくる、イングリット・バーグマン&ケイリー・グラント作品は、たぶんヒッチ・コックの「汚名」。あのシーンは私が現在まで見た映画の中で最も憧れた、美しい大人のラブシーン。キスをしたいのにお互いにしない、頬を寄せてお互いを確認しあって会話を続けているのだけど、既に心の中では十分にキスしている感じ。しかも結構長い。とっても美しくて印象的な大人のラブシーン。あれを二度も使用しているというのはどういう意図なのかなぁ?個人的には、監督のセンスの良さを感じた部分だった。
SF的には、ラストはやってはいけないことをやってしまったわけだけど、(バック・トゥー・ザ・フューチャーのドクが力説した約束事を考えれば!)ま、硬いこと言わずに、美しいラストシーンを純粋に喜ぶことが出来た、久しぶりの素敵な純愛映画だった。やっぱり手紙っていいな、と思ったりして。
おまけとして、たぶん、キアヌが号泣する演技は初めて見たような気がする。ちょっと意外な感じだったが、不器用に泣くシーンだからこそ、父親へとのこれまでの付き合い方も非常に不器用で、特別な気持ちを抱えていたのだろう、という事を観客に想像させるものになっていた。
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Comments
はじめまして。ポビーと云います。当方へのTB、コメントありがとうございます。またちょくちょく伺います。よろしくお願いします。ぺこりっ。
Posted by: ポビー(pobby777) | 10/02/2006 10:37 PM
ボビーさん、ありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします~、ぺこりっ。
Posted by: Sis.C | 10/04/2006 06:20 PM
「イルマーレ」観てきました。韓国版はやはり未見です。でも観たい気分満載であります。
映画に登場するジェーン・オースティンの“説得”が俄然読みたくなってしまったので仕入れに行こうかと思っております。
日本ではブロンテ姉妹の方が有名で、オースティンは余り読まれていないようですね?「プライドと偏見」を観た後、オースティンの「自負と偏見」を読みましたがとても面白かったので、オースティンものおすすめしたいと思います。
さてこの映画のラストは...??あれで良いのかもですね??
Posted by: margot2005 | 10/08/2006 02:18 AM